中3の時だった
私は三階
あなたは一階だったよね
話した事もないのに
一階を見るとよく目が合った
段々あなたが気になりだして
一階を見ることが多くなった
あなたを探すようになってた
不器用だったけど
X’masの日
あなたに想いを伝えたよ
返事は三学期の始めだった
それから私たちの恋は始まった
進路が違う私たち
照れくさいけど
たくさん話したし
たくさん遊んだ
卒業式の日
誓い合った
離れても
気持ちは変わらない
お互いバイトも始め
逢えなくなった
たまに逢えた時
話すことは私の知らない事ばかり
知らない人
知らない校舎
想像できない学校生活
すごく切なかった
私が告白してから
一年目のX’masがやってきた
待ち合わせ場所に行くと
あなたと知らない女の人がいた
あなたはその人にプレゼントを渡し
その人は居なくなった
そして私に気付き
近寄ってきた
あなたは袋を二つ持ってたね
何人にプレゼント渡すの?
耐えられなくなった私は
あなたの言葉も聞かず
一方的に別れを告げた
喜ぶ顔が見たくて
買ったプレゼントも捨てた
悔しくて泣いた
裏切られた
踏みにじられた
憎しみの言葉しか考えられなかった
それから一年が過ぎ
近寄りもしなかった
あの日の待ち合わせ場所に行った
友達を探して居ると
一年前あなたがプレゼントを渡した女の人と
知らない男の人がいた
二人は私を見て
駆け寄ってきた
話を聞くと
男の人があなたに
女の人にプレゼントを渡してくれって
頼んだみたいだ
なんだか汚れた袋を渡され
私は帰った
泣いた
信じきれず
勘違いで
あなたと別れたこと
あなたを苦しめたこと
裏切る前に信じきれてなかった私自身が
悔しかった
二人が
あなたに。ってくれた
二つの汚れた袋
開けてみると
時計と電池
もう一つには
指輪
それぞれに
あなたの手紙が添えられてた
時計の方には
「好きです
突然ですが
あなたを探すために
毎日、三階を見てます
良ければ
この時計に二人で電池を入れ
二人の時間を刻みませんか?
お返事待ってます。」
指輪の方には
「メリークリスマス
最近逢えなかったけど
どうしてもこの指輪を
お前に渡したかったんだ
今の俺の精一杯のプレゼントだ
必ず本物の結婚指輪を買ってやるから
今はこれで我慢してくれ
一応ペアリングなんだぞ
これで
離れていても
繋がっていられるな」
一昨年と去年の
X’masプレゼントだった
不器用だったあなた
大切なことは言葉にせずに
伝えてくれた
あの日の告白
三階であなたと目が合った時
私はくもったガラスに
「すき」って書くことしか
出来なかった
三学期の始めの日
ガラスがくもりだしたときに
私が書いた「すき」の隣に「おれも」
って書いてあった
この時計がなんで5時1分で止められているのか
私はわかる
「恋が始まる」って事くらい
気付いててくれたんだね
私が不安で寂しかった事
私にはもったいないくらいの
愛と形見だよ
居ても立ってもいられずに
指輪をして
あなたの家に行った
そこにはあの頃と変わらない
笑顔のあなた
慰霊と指輪がありました
あの日
私を追い掛けて
事故にあったと聞きました